くもをさがす 西加奈子
医療を受けることが日本では、当たり前にできることなのに、バンクーバーではそうでない。
国によって、医療体制が違うことを思い知らされた。
人によっては軽く見られていると感じてしまう対応を、西さんは、軽い訳じゃなく、自分の人生と割り切った愛の形なのだと感じられていたことは凄く印象に残った。
言ってしまえば、日本人の過剰な情は日本の良い文化ではあるものの、そこまでする必要はない。
勝手に手を出してしまう、差し伸ばしてしまう情ではなく、自分がサポートしたいと思ったから動ける愛の形がバンクーバーの人らしさで、自分にも取り入れたい部分だと思った。
闘病生活の話なので、読んでいて心苦しくなる時もあったけど、西さんの気持ちの作り方、持ってきた方は凄く勉強になったし、強い生き方だった。
手術室へ向かう時には、コミカルに関西弁で自問自答しながら向かう西さんの姿に、笑いながら泣きそうになった。